レポート
5月12日(日)、尼崎道場におきまして『春季審査会』が行われ、塚口道場からは少年部・一般部合わせて30名が受審しました。 午前9時より少年部初級(白帯、オレンジ帯)の審査を開始。柔軟、拳立て、ジャンプ力(二段蹴り)、基本、移動、型、組手の順で行われました。 初級者ばかりなので緊張する表情が多く見られましたが、緊張をはねのけて一生懸命、気合いの入った姿を見せてくれました。 続いて12時より少年部青帯以上と一般部の審査が行われました。午前中と同じく、柔軟、拳立て、ジャンプ力(二段蹴り、緑帯以上は飛び後ろ回し蹴り)、基本、移動、型、組手と行いました。 緊張のあまりすぐに息が上がり、普段の動きが出来ない人もいましたが、これも修行。緊張していても普段の動きが出来なければいけません。 審査会は松井館長の言葉にもあるように、人の目を借りて自分が正しいやり方で稽古できているかを確認し、自分自身を矯正する場です。 黒帯指導者を含め、受審者全員が基本、移動、型の見直し、見失いがちな点を再認識しなければいけません。
さて、審査会のメインイベントである昇段10人組手に、今回 塚口道場から奥村研斗(19歳)と内弟子の有馬美優士(18歳)が挑戦しました。 奥村研斗は小学1年生の時に、1歳年上の兄の奥村拓海と同時に入門し、空手歴13年。京都外国語大学の2回生。 有馬美優士は4歳で尼崎道場に入門し空手歴14年。2人共、この日の為に徹底して道場稽古で基本、移動、型、予行10人組手をやり込んで、この日を迎えました。
トップバッターは奥村研斗。昨年の全関西一般中級中量級、神戸カップ一般中級重量級と連続優勝しています。 1~2人目、試合さながらの積極的な攻撃と手数で攻め込みます。 3人目に外屋敷師範代。強烈な突きの連打で押し込まれますが、回り込んで突き蹴りで反撃します。 4人目、小柄ながら激しい突き蹴りで勢い良く攻め込む相手を後ろ蹴りで倒し一本勝ち。 5人目、白帯ながら柔道やブラジリアン柔術、他流派の空手経験があり、今年の大阪カップ一般中級重量級で優勝している相手。序盤、攻め込まれますが、突きと内股蹴りで打ち返します。 6~8人目、若手黒帯の厳しい攻撃を受けますが一方的にやられる事無く、突きと膝蹴りで打ち合い根性を見せます。 9人目、またもや白帯の他流経験者。執拗なボディ攻撃と疲れで動きが落ちますが後半、内股蹴りの連打で盛り返します。 10人目に川阪師範代。多彩な上段蹴りが何度も顔面を襲いますが、見守る人達の大声援をバックに最後まで耐え抜き無事完遂しました。
10人組手ラストは有馬美優士。4月から道場内弟子となり、4月の大阪選手権中量級で準優勝、6月の全日本ウエイト制大会に出場も決まっています。 1人目から外屋敷師範代。金曜日の尼崎道場強化組手稽古(尼金)で毎週手を合わせています。試合さながらの攻防を見せます。 2人目、過去に試合で二度対戦した事のある同じ年の相手。お互い探り合いながらも要所要所で激しく打ち合います。 3人目、この日大活躍の白帯の他流経験者。激しく攻撃してくる相手に冷静に対応し技を返します。 4~5人目、若手黒帯の激しい攻撃に多少疲れが見え、手数が減りますが、突き蹴りのスピードと威力は落ちていません。 6人目、普段道場で稽古している後輩が相手。ここは技ありか、一本勝ちして欲しかったのですが、4~5人目の黒帯を相手にした疲労が影響している様です。 7人目に川阪師範代。多彩な上段蹴りが顔面を襲い、危ない場面がありましたが、なんとか凌ぎます。 8~9人目、またもや若手黒帯。疲れもピークに達していますが、試合で対戦するかもしれない相手。昇段組手であっても絶対に弱みを見せてはいけません。気力で技を返します。 10人目に外屋敷師範代。始めの合図と共に、突進しながら左右の正拳連打で猛烈に攻撃して来ます。見守る人達の大声援を背に受け、最後の力を振り絞り負けじと打ち返します。そして、終了の太鼓が鳴ると同時に場内から大きな拍手が鳴り響き、無事10人組手を完遂しました。
手前味噌になりますが、今回の2人の10人組手の内容は非常に良かったと思います。 技あり、一本勝ちが奥村研斗の1つだけだったのは課題が残りますが、2人共防戦一方になる事なく、気持ちを強く持ち、最後まで力強い技が出せていましたし良く頑張ったと思います。 今回、黒帯となった奥村研斗は6歳、有馬美優士は4歳から空手を続けています。2人共、子供時代から強かった訳ではありません。型の覚えも悪く、よく怒られていた方です。 試合では初級クラスでは優勝していましたが、チャンピオンクラスでは毎回1~2回戦負けでした。中学生になるとクラブや勉強や生活環境の変化でコンスタントに稽古に来る事が出来なくなった事もありました。 高校受験、大学受験で長期間休会した事もありました。子供時代から続けていた同年代の仲間が色々な理由で退会して寂しい思いをした時もあったでしょう。 そんな様々な出来事を乗り越え努力を積み重ねてて黒帯になった事は彼らの人生の宝物となり、必ず自信になると思います。
しかし、忘れてはいけないのは、黒帯になれた事は自分1人の力では絶対に無いという事です。まずは、何よりも御両親に感謝すること。 経済的な援助は勿論の事、様々な理由で空手を辞めたいと思った事もあったでしょう。 しかし、常に励まし、影で支えてくれる御両親の存在があったからこそです。そして、道場の仲間の存在に感謝すること。 塚口道場には同年代の仲間が沢山います。苦楽を分かち合い、切磋琢磨する仲間の存在があったからこそ、ここまで空手を続けてこれたモチベーションに繋がっている事は間違いありません。 そして、年代は違えど組手ではガチンコで殴り合い、組手のアドバイスや型の指導をしてくださった黒帯の先生方。 そんな方々の存在があってこその黒帯だと肝に銘じなければなりません。 応援、支援してくださった方々の期待を裏切らず、恩返し出来る様に努力を続け、先生方や先輩から熱心に指導していただいた事を後輩に伝える事。 それが出来て初めて黒帯と認められます。誰からも尊敬される黒帯を目指し、今後も努力精進してください。
最後に、長年に渡り厳しい指導や稽古を理解し、サポートをしてくださいましたお父さん、お母さんありがとうございました。御両親のサポートが無ければ絶対に続ける事は出来ませんでした。 2人の指導をしてくださいました塚口道場の先生方ありがとうございました。私1人で2人をここまで導いて来る事は出来ませんでした。 塚口道場の道場生の皆さんありがとうございました。共に稽古する仲間の存在があるからこそ2人は頑張る事が出来ました。 審査をしていただきました、中村師範、10人組手の相手をしてくださいました師範代、先生方、道場生の皆さんありがとうございました。皆さんの励ましと応援で完遂する事が出来ました。 この場をお借りしまして御礼申し上げます。ありがとうございました。